蟹3

感想と怪文書

フルパPEX

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最近、夜な夜な3人でAPEXをしている。
1200時間のうち恐らく1000時間以上をソロでやってきたので、フルパで遊ぶのは純粋に楽しい。およそこの手のチームゲームはパーティーを組んでやる前提に設計されているし。

3人ともプラチナ底辺だが、ランクマッチが勝てない。それはもう勝てない。0.95あったシーズンKDは0.7あたりまで落ちた。あまりにも負け過ぎて内部レートが落ちたのか、いったんカジュアルを挟んだら敵が弱くて12キルチャンピオンを取ってしまった。でもランクは勝てない。
下手するとあそこで負けたのはお前のせいだとか喧嘩になりかねない戦績だが、そうならずにあーだこーだ相談しながらやれていてよかった。相談しても勝てないが。
毎度負けた原因は何だろうと考えてはいるものの、根本的なところに素のフィジカル差、エイム差があるように思われ、一朝一夕ではどうにもならない。同じランク帯でもソロでは多少マシな結果になる。おそらくフルパを組むことによって格上と当たる可能性が高まっているのではないかと思う。ソロキューは人が多いからプラ4だけで60人集まるが、フルパはプラ3~1も大勢いる。(ゴールドもいるが大抵ダブハン爪痕持ち)マスターやプレデター経験者もちらほら見かける。
よく「ランクを盛りたいならパーティーを組め」と言われるが、あれはそれなりにできる人が格下の野良に足を引っ張られることを防ぐための方策であって、プラチナ4相応の人間が3人集まってもポイントは盛れないということがわかった。パーティーを組んで盛れる人はよほどの被キャリーじゃない限りソロでもなんだかんだ上がれると思う。無駄に時間はかかるとしても。

とはいえ、このゲームは毎回真正面から戦わなくても勝つ方法はたくさんある。ポジション取りだったり漁夫のタイミングだったり。ゴールド以下は雑に戦ってそこそこ勝てたので、そういう実力差をひっくり返すためのひと工夫が不足しているのかもしれない。それでもエイムで返り討ちにあうこともよくある。
野良でよくやる順位を伸ばすための生存ムーブはいくらかできていると思いたいが、フルパでは敵の攻め気が強くあまり刺さらない。たぶん、ダイヤマスター常連の人たちが通過点に過ぎないプラチナではキルポ重視で動いているのだと思う。俺たちがシルバーやゴールドでやるように。生存重視なら到底戦うべきでない(から詰めてこないだろうと予想した)場面で強引にファイトに持ち込まれ、反応が遅れてそのまま轢き殺される、というパターンが多い。距離の詰め方もしっかり3人でタイミングを合わせるという野良ではなかなかできないことを平然とやってくる。
ネットにあふれる上達法やらランクの心得やらはほとんどソロランクの話であまり参考にならない。フルパだからボイスチャットの連携が重要なのだろうが、なかなか上手くいってない。一緒にやり始めたのが最近なので仕方ないとはいえ。

始めた当初に比べれば格段に上達したAPEXも、ここ何シーズンか成長が頭打ちになってちょっと飽きていたが、ここにきて新しい側面が見れて面白い。面白いのに、加齢ゆえか、単純に才能がないのか、上達という点では頭打ち感は一向に変わらないのがつらい。もっと頑張ればもう少しうまくなれると思うのだが、若者に比べて吸収力も無くなっていて時間がかかるのだろう。悲しい。

お電話お悩み相談

仕事を辞めたい気持ちと仕事を辞めるにあたって起こりうる諸々の面倒を勘案して板挟みになっておりしんどいので、お電話お悩み相談を決行した。
こころの相談ダイヤルとかそういうのではなくて、いわゆる何でも屋さんみたいな、人手が必要なこと大体やります的サービスの中に、お悩み相談」もあったので物は試しと思い利用してみた。ちょっと怪しい気もしたが、比較的大きな会社だったし、有料である分行政が置いてる無料相談ダイヤルよりはむしろ信頼がおけるのではないかという判断。行政への信頼なし。
結果から言えば、なんとか心理士?心理なんとかカウンセラー?ちょっと忘れたけど何某かの資格を持っている人が対応してくれて、1時間しかなかったので急ぎ足ではあったものの、思っていたよりずっと本質的な話をしてくれた。そのおかげで当面の仕事辞めたさには何の解決にもならなかったが。

全てをちゃんと覚えているわけではないが、概ね以下のようなことを言われた。
・仕事での嫌なことを自ら大したことはないと言い訳しているように感じる
・本気で辞めたいように聞こえない
・感情がフラットすぎる
・原因はわからないが良い面でも悪い面でも感情を抑え込むようになってしまったのではないか
・仕事をするうえでしんどいことつらいことがあるのは普通のことだが、多くの人は何かしらの喜びや楽しみを持って生きていてそれらを打ち消している、またはやり過ごしている
・仕事を辞めたい理由がひとつひとつは大したことがなく小さいことだと感じていてそれでも常に辞めたい思いがあるのは、生きる上でのプラス面の感情が小さすぎるため、小さなマイナスがことさら大きく感じてしまうから
・その状態が変わらなければ、仮に仕事を辞めても恐らく次の仕事で同じことが起きるし、幸せになることはできないのではないか
・全体的にエネルギーが少ない
・新しい趣味に手を付けてもすぐに面白くなく感じてしまうのは、何事も1人で完結しようとするからであり、他者と関わりながらであればまた違う可能性がある
・10年後どうなりたいかを考えてみて、そのうえで決断したほうが良い
・調子が悪い時に決めたことは人生にマイナスに働くことが多い
・転職当初に引継ぎがきちんとされない中でちゃんと仕事を覚えているし、目標があればやり遂げられる人であると自信を持つべき
など。

おっしゃっていることは至極もっともだし、少ない時間で聞き取りできることも限りがある中ですごく真摯に話をしてくれたと思う。ただ、こう見るとやっぱり、俺が欲していた「良いことも望みもなくていいから嫌なことを感じずに生きたい」というのは土台無理なように思えて、一層気が滅入った。
というか、そういう願い自体が、不調な精神状態から引き起こされるものであるという風にも感じる。そして、そういう状況を脱するためには、現状色々と考えても自分で答えを出して完結してしまっているのだから、『人と関わる』ことで別の視点や状況を作るという、ごくありふれた、しかし恐らく真理に近い、手段が目の前に浮かび上がってくる。
人と関わることそれ自体は一つの手段であり必須なわけではない、と話していて感じたが、ともかくおおもとの相談に関しては、「仕事を辞めても大丈夫だと言える状態や環境を作ってから辞めるほうがよい」ということだと理解した。
それは次の転職先をあらかじめ見つけておくとかそういうことではなく*1、俺自身の精神や生き方について、ということだ。

正直薄々わかっていたことではあるが、目の前の嫌なことから逃げたくて会社に言い訳する口実探し程度のつもりで依頼した相談で、しっかり現実を見つめるよう言われた気持ちがした。
仕事を辞めれば目下のストレスが消えてそういう生きる希望探しをする元気も出るだろうという考えもあるが、なんだかんだ嫌だけど耐えれる程度だとみなしているなら、辞めるより先にやることあるんじゃないのと言われても仕方ないのだろう。
相談の中で「仕事を辞めたい気持ちは何割くらい?」と聞かれて「うーん、半分以上?6割?7割?」とあいまいにしか答えられなかったのだが、それに対する反応は「あ、その程度なんだ?」だった。確かに仕事は嫌だ、けれど食欲も睡眠欲もある、なんだかんだ仕事はそつなくこなしている、本当に嫌なのか、という部分を見透かされたのかもしれない。本当に嫌なんだけど、確かに上司と争いたくないとか言い訳してる時点でそうでもないのかもしれない。
では、嫌々ながら仕事をしつつも、「辞めても大丈夫といえる状態」づくりのために何ができるかというと、色々やり方はあるにせよ提示された方法は「人と関わる」だった。何せ、自分で考えても解決しないのだから。
しかし、俺は人と関わるのが苦手だ。関わること自体はできた、友達と会うのも楽しいと思う。けれどどうしてもなんだって一人で済むように、一人でやるようにしてしまう。そのほうが良いと思ってしまう。それは子どもの頃から自覚的で仕事云々関係なくそうだった。どうしたらいいのだろう。
自分でもどうしようもないと思う。助けてほしい。人と関わると言っても、関わりに行くのは自分自身。道標は示されている、あとは自分。自分を助けるのは自分自身だ。苦しい。

*1:仕事の現状的に転職先を探すにしても会社に辞意を伝えて退職日が来るまで恐らく数カ月かかりその間で探すことになる

FF14暁月のフィナーレ感想【ネタバレ】

ファイナルファンタジー14パッチ6.0『暁月のフィナーレ』をクリアした感想。ネタバレ全開。
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『新生』から始まり『蒼天』『紅蓮』『漆黒』と重ねてきた物語の、根底にある「ゾディアークとハイデリン」というテーマがついに終結。大枠の感想としてはどうにかうまくまとめたな、という感じ。
冗長な部分が多い、新要素「同行」「尾行」が微妙、冒険感が薄い、テレポ代が高い、など不満点は割と多いものの、シナリオ上拾うべきところは拾って締めたのは評価したい。各種レビューでは過去最高評価らしいが、個人的には『漆黒』を100点とするなら85、いや80点かな。演出と音楽の押しが強くてクリア直後はウワー…となったが、時間が経つにつれてそうでもなかったな、と感じてきた。
とはいえ、古代人とハイデリンゾディアークのような根本設定は旧FF14時代には明確に定まっておらず、新生以降のゲームを作りながら徐々に決められていったとどこかで見た記憶がある。初めから緻密に計算されたわけではないにもかかわらず、大風呂敷を畳み切った手腕は素直に脱帽せざるを得ない。

前半は眠い

開始直後、ついにガレマール帝国本土に踏み込むことになり、帝国ファンとしては非常に楽しみだったのだが、帝都は既に壊滅していた。がっかり。盛者必衰の哀愁漂う景観とBGMはこれはこれで非常に良いのだが。イシュガルドのように今後復興とかやるのだろうか。不評そう。
帝国領、ラザハン、シャーレアンそれぞれで今までの拡張の振り返りという面もあったと思う。長年やってきたプレイヤーには思い出すものもあるだろう。俺は記憶があやふやでもうダメだ。
前半部分は正直そこまで面白くはない。いわば後半へ向けた溜めのパート。絶望が物語上ひとつのキーになるからか、NPCにもキャラクターにもついでにプレイヤー自身にも、これでもかとばかりに絶望が降りかかり圧をかけてくる。人がモンスター化してしまう流れはちょっと見飽きたし、犠牲になる市民を前に「守護(まも)れなかった…」てやるのも食傷気味ではある。さすがに暁の面々は修羅場を潜った分動揺は減っていたが、いい加減目の前くらい守護(まも)れよ、とは思った。ラザハン太守と元竜騎士は頑張ってた。
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古代人の真実

長らくラスボスとされてきた「ゾディアーク」はあっさり倒れ、全ての元凶を探りに古代人の時代へ。時間を遡ってかなり自由に「その真相は実はこうだったのだ」ができるの便利だね。クリスタルタワー万歳。いや、第一世界のクリタワが時間操作できるのは確か、ガーロンドアイアンワークスの後継者たちが蛮神アレキサンダーを研究してその機構を転用したからだった。アレキサンダー万歳!
『漆黒』で対峙した古代人代表エメトセルクは、ことあるごとに現人類が劣等種であること、古代人が如何に素晴らしい完璧な存在だったかを誇示してきた。アーモロートの神秘的な佇まいも相まって、古代人は神に近い存在であるかのような印象を受けた。
ところが、今回目の当たりにした古代人たちの本当の姿は、正直に言って現人類とそこまで変わりあるようには見えなかった。デカいし、各種スペックは遥かに高く、寿命も長く、文明は桁違いに高度で、価値観も全く違う。一方で、顔は(イケメン寄りの)ほぼ人間、感情もあるようだし、ヘルメスのように弱さも持っている。サブクエストをやれば悩みや迷いも当然に持っていることがわかる。現代人より倍くらいデカいっていう設定も気づいたらうやむやにされてる。
アシエンも中身は古代人のはずだが結構ギャップがあった。アシエンがあんなこってりした悪役然とした感じだったのは、数千年を超える長い時間のせいなのかもしれない。*1
エメトセルクだかエリディプスだったか「ラハブレアのじいさんは長年ラハブレアの座をやり続けてちょっとおかしくなっとる」みたいな台詞がどこかにあったような気がする。過剰な古代人賛美も現代人蔑視も、永く孤独なアシエン活動の中で彼らの精神や記憶が変容していった結果と思えば不自然ではない。ゾディアークのテンパード化という影響もあっただろう。
本人たちは認めないだろうが、アシエン自身も、分かたれた人が古代人とそう変わりないことを無意識のうちに感じ取ってきたのではないだろうか。その中で葛藤や罪悪感のようなものが芽生え、それが裏返ってあのような悪辣な態度になったとしたら。『漆黒』までの物語もまた違った風に見えてくる。
これはネットで見つけた意見で俺が気付いたしたわけではないが、古代エルピスではヒカセンは人ではなく「使い魔」扱いだったのに、現代でエメトセルクが創造した疑似アーモロートでは「人の子」と呼ばれていた。そこに、彼の奥底にある意識の変化が垣間見えるのかもしれない。
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ヘルメスとメーティオン

完全初出キャラでありながらゾディアークを差し置いて最後の大役を果たすことになった2人。
ヘルメスが所長を務めるエルピスという機関では、様々な生物を創造魔法により試験的に創り出し、その性質を調べて星に放つに足る「善い」生物かどうかを判定している。善ければ星に生きる新たな仲間となり、善くなければ廃棄。
しかしながら、当の所長ヘルメスは生命に慈しみを持っており、実験体であっても消されるときはその「死」に心を痛めている。他の古代人も愛着や愛情は持っているようだが、星のためになるならばそこに迷いはない。それは彼ら自身の命に対しても同じで、多くの古代人は為すべきことを為したと判断した場合、自分の意志で「星に還る」らしい。明言はされてないが要するに自死だ。しかしヘルメスはそれもちょっとおかしいと思っている。そもそもヘルメス以外は「死」という言葉をあまり使わないという。
このあたり、ヘルメスの感性はかなり現代人に近い。古代人たちの星への絶対奉仕ぶりを見るに、相当居心地の悪さを抱えてきたのではないか。そんな中で、周りのみんなが当然のように言う「星のために生きる」という命題に疑問を投げかけようとする気持ちはわかる。その手段が使い魔メーティオンだった。
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ヘルメスのちぐはぐさ

ただねえ、そのやり方は悪手じゃろと俺は思った。結果的にメーティオンが持ち帰ってきた答えがなんであれ、「生きる意味」なんて他者に聞くようなものではないだろう。それで返ってくるのはあくまで他者の答えに過ぎない。他者の答えを参考にするのはいいが、そのうえで自分は?と内側に向けて投げるべき問いだと思う。しかし、ヘルメスにせよメーティオン(は使い魔だからそうなっただけかも)にせよ、他星の答えを真に受けて自分で考えようとしていない。
メーティオンの存在を知ったエメトセルクらの対応はごくごく自然。にもかかわらず、答えは一人で聞きたいだの連れ去らせはしないだのと謎の感情論で立てこもる意味も分からない。実験動物みたいに廃棄されるのを恐れたのかもしれないが、その行動が星全体に危機をもたらすものと半ば知りながらの独断専横は、ヘルメスが持っていた命を尊ぶ性格とは真逆に見える。この辺の整合性が(何かしらあるのかもしれないが)一度ストーリーを追うだけではいまいち掴めず、ラスボスを作るためのシナリオ都合に見えてしまった。
成功するあてもない深宇宙探査に、知性と人格あるメーティオンをたった一人(群体なので一人なのか微妙だが)飛ばすという行動もよくわからない。デュナミスの力で補給要らずなのかもしれないが、広く冷たく暗い宇宙の旅はどう考えても過酷だ。どんな旅路になるか考えもしなかったのか。もしアーテリス以外の星に生命がいなかったら彼女がどうなるか想像した?ボイジャー計画からやり直せと言いたい。

生きる意味生きる価値

ヘルメスを叩くのはこのくらいにしておいて、そうはいっても終わりに絶望した星々がたくさんあったのは事実。何らかの力で星々が終わりに向かうように定められていたのだとしたら、メーティオンがいなくても、アーテリスもいずれ厄災に飲み込まれる運命だったかもしれない。*2
そんな「終わりの絶望」に立ち向かう現人類代表暁の血盟。頼りなかった彼らも『漆黒』で一皮むけた今や、ヒカセンに次ぐ英傑の風格である。シナリオ的にはヒカセンが代表として扱われているが、俺の解釈ではヒカセンは良心はあるが思想はない用心棒(綺麗なゼノス)なので、代表はあくまで暁の血盟そのものとしたい。
終末に抗う彼らの理論は強い。生きる意味などないだから死ぬべきだと謳う存在に対して、そんなことはない、生きる意味はあるんだ!と叫ぶ。人は生きるに値する存在だ、と。それは、エルピスで生物の価値を判定していた古代人へのアンチテーゼでもある。
なかなか厳しいことを言うねとも思った。「生きる意味がないから死ぬべき」に対して「いや意味はある」という返答は、実際に生きる意味や価値を感じていない人を切り捨てることを含み得る。もちろん、そういう場合彼らは「そんなことはない!君にだって何か生きる意味があるに違いない」と手を差し伸べるのだろう。そうして救われるならそれは幸せなことだが、誰もがそうではないと思う。終末の獣になってしまった人々の中には、そういう後ろ向きな人生観の持ち主も多かったのではないか。彼らのエーテルは霧散し消えてしまった。
ゲームシナリオに自分の価値観をぶつけても仕方ないのだが、俺は、生きる価値や意味がなくても生きていていいと思っている。ただ無意味な生を過ごしたっていいじゃないか。少なくとも俺が無意味に(感じながら)生きることは肯定したいし、他の誰かが無価値に(感じながら)生きることも許容したい。けれど、どうも人間というのは無意味に生きること、無価値に生きることに耐えられるようにはできていないらしい。

ゼノス

というようなことをぼんやり考えていたらいきなり青春河川敷決闘が始まってなんかどうでもよくなっちゃった。魔法使い女の細腕にぶっ飛ばされるゼノスなんか見たくなかった。暗黒か戦士でメインやればよかった。
このストーカー野郎については賛否ある(賛あるか?)ものの、最終的には俺は許してやろうかなと思った。復活以降は意味深にニヤつく迷惑の化身となり、今回でも例のイベントで多くのプレイヤーに不快感を与えてきたこの男は確かにウザかった。嫌いと言ってもいい。
滅亡したガレマール帝国の生き残り将校と舌戦になるシーン。激高し何故こんなことをと問うユルスに対してゼノスはこう言う。

ゼノス・ヴェトル・ガルヴァス : 現実に納得するための理由を、他者になど求めて何になる。
そんなもの、たとえ地の果て、天の果てまで問い求めようが、
返ってくるのは誰ぞの都合よ。
ゼノス・ヴェトル・ガルヴァス : 己が生に横臥することごとく、
それに意味を、答えを出すのは己自身だ。

これはそのまま、災厄の引き金を引いたヘルメスへの答えだ。古代世界から帰還した直後にこのカットシーンを入れてくるあたり、シナリオ側もちゃんと意識していた。
とはいえ、直後にアリぜーが指摘するように、これは簡単なことではない。ゼノスだって、たまたまヒカセンに出会わなければ強すぎる力を持て余し無聊のままに生きていただろう。下手をするとめちゃ強い終末の獣になっていたかもしれない。
それでも、人という生き物が生に価値を見出さずにはおれないのだとしたら、ゼノスという男は一つの真実だと思う。たまたまその性質と生い立ちゆえにああいうクソ迷惑野郎になってしまっただけで。ヒカセンも帝国貴族に生まれていればああなっていただろう。そう思えば、最期に一発ブチかましくらい付き合ってやれてよかった。
パッチの最後をこいつが締めることになったのも「答えは自分で見つけるもの」という大きなメッセージだから、というのはちょっとゼノスを過大評価しすぎだろうか。生きる意味を巡って始まった数千年以上の長い物語に、真正面から答えられる男がいたということを覚えておこうと思う。

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殴り合いのシーンはイベントバトル内なので撮り直しできず

*1:実際は当時古代人の設定がなかっただけだと思うが

*2:ここも個人的には引っかかる所で、文明の栄えた星が複数あったとして“アーテリス以外の全て”が悉く滅亡済みないし滅亡間近というのはあまりにもご都合過ぎるのでは?と思う。SETIの研究者が泣くぞ。

原典を覗いてみたくはないか。-『胎界主』

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『胎界主』を読め。

『胎界主』は2005年から連載されているWeb漫画である。第一部「アカーシャ球体」第二部「ロックヘイム」が完結済、第三部「翻訳儀典」が2021年現在連載中。全話を総天然色フルカラーで無料で読むことができる。もちろん有料で読むこともできる。PixivFANBOXで作者を支援すれば、公開より数日早く最新話を読めるほか、高解像度版のダウンロードやおまけのラフ画、その他支援者限定コンテンツを閲覧できる。当然俺も微力ながら支援している。
作者の尾籠憲一氏は、「年間家賃264,000円」「山場を描くにあたって食事と風呂を忘れる」「2020年にADSL(まちがいではない)モデムの故障によりネットから断絶され更新が途絶える」「安否を心配した古参読者が過去に贈られた記念品の郵送元住所から電話帳で電話番号を割り出し電凸して生存が確認される」*1などといったおよそ浮世離れしたエピソードを持つ。よく考えたら読者もヤバい。

まず『胎界主』が難解な漫画であることは認めねばならない。攻略動画まである。Wikiもある。
特に第一部の序盤は、前提となる世界観や設定の説明が不完全な中で独特なコマ割りと時系列を読み進む必要があり、誰もが認める最初にして最大の難所となっている。
序盤に限らず全編にわたって初見で理解しづらい場面が多いので、分からない箇所はいちいち立ち止まらずに読み進めていくのが正しい。
とはいえ、意味の分からないものを読む暇があったらもっと他にやることがある、と言われてしまうかもしれない。そんなくだらない理由で『胎界主』を読む機会を逃しかねない哀れな胎界物たちのために、『胎界主』世界を歩くための最低限の智慧をここに授けようと思う。

世界観

『胎界主』の世界には超常の存在がいる。例えば「司神」「神獣」あるいは「悪魔」「妖魔」「精獣」「骸者」など。厄介なことに「悪魔も神獣の一種である」とか「神獣のうち特に強力なものを四大神獣と呼ぶ」とか「司神一柱ごとに四大神獣がいる」とか様々な設定があり、一度にはとても覚えきれない。とりあえず人ではない強力な連中が蠢いていると思っておけばよい。
そのうち現時点で最も強大な存在が「司神」たちであるが、彼らは強大過ぎるがゆえに別の次元世界に隔離されている。作中で行われる魔法じみた行為や現象の多くは、司神の力を次元をまたいで引き出しアカーシャ球体を介して利用している。

アカーシャ球体

第一部のタイトルでもある「アカーシャ球体」とは、ごく簡単に言えば、様々な力や現象を翻訳して視覚化したものである。物理法則物理世界の外に存在し常人には見ることができないが、相応の能力を持つ者や人ならざる者たちはこれをある程度視認することができ、中には直接操ることができる者もいる。要するに、魔法的な現象の媒介になるものがアカーシャ球体だ。
人間の周囲をぐるぐる回っていて、悪魔はその人間を取り巻くアカーシャ球体を視ることでその人物が胎界主かどうかを判別している。

東郷

東郷家は九州地方を支配する巨大な一族であり、その多くがアカーシャ球体を操れる「球体使い」である。急激に勢力を伸ばし、後述する悪魔の代行組織を撃破して国外に支配圏を拡大している。しかしながら新興勢力ゆえ司神の力や世界の成り立ちなどの深い知識は悪魔に及ばず、現状さしたる脅威とは思われていない模様。
東郷家の者たちもそれぞれの思惑を持って物語の随所に絡んでくることになる。

悪魔

人でない存在のうち、序盤から頻繁に登場するのが「悪魔」とその眷属たちだ。悪魔は「魔界」と呼ばれる次元世界に住む者の総称で、強大な力を有しているが、厳格な身分制度のもと派閥争いに明け暮れている。
悪魔の中で特に高位のものは「魔王」と呼ばれる。設定上は72柱の魔王がおり、魔王の中にも厳しい序列がある。第一話に堂々登場するベリト男爵閣下も栄光ある72魔王の末席を飾る御方である。
魔王たちは願いを一つ叶える代わりに12年間下僕とする「誓約」を交わし、人間を支配下に入れる。悪魔の配下にある人間は「誓約者」と呼ばれる
悪魔は肉体を持たないため生成世界(いわゆる物質世界。人間が暮らす世界)に顕現するには召喚の手順を踏まなければならないが、来訪せずとも誓約者たちによる代行組織を操り実質的な支配者として暗に君臨している。
作中では何かと策を巡らせ凡蔵稀男(ぼんくらまれお)を配下にしようとするが、その目的は「真の胎界主」の獲得である。稀男は「真の胎界主」候補と目されているのだ。胎界主、真の胎界主とは何かは後述する。

凡蔵稀男

『胎界主』一部と二部の主人公が「凡蔵稀男」という気味の悪い男だ。白目に白髪という人間離れした風貌は、妖魔の血が半分流れているハーフだからである。その血筋ゆえに生物の「いのちの緒」を視認し切断する能力を持っている。生命を直接奪える、くらいに思っておけばよい。序盤はこれでだいたい無双している。とはいえ効かない相手もいる。強すぎて第二部ではナーフされる。
また、強大な「運ぶ力」の胎界主でもあり、その力をめぐって悪魔やカルト集団と戦ったり戦わなかったりすることになる。運ぶ力とは何か、胎界主とは何かは後述する。
凡蔵稀男は特殊な精神構造をしており、そこを理解していないと行動が突飛すぎて狂人に見える。理解しても狂人であるのは変わりないかもしれないが。詳しくは本編で読んでほしいが、異常な生い立ちゆえに自我の礎を作ることができず、暫定的に「人を助ける」ことを自身に課して自我を保っている、と思っておけばよい。そのため、本人は非社会的な偏屈者でありながら、助けを求められると応じずにはいられない。その中で様々な人と出会い別れ、激動の流れに身を委ねていくことになる。

胎界主

「胎界主」とは字の通り「胎界」の主である。胎界は文脈によって複数の意味がありわかりづらいが、支配領域、次元世界、限定空間、あたりのニュアンスがある。
一方で、稀男がそうであるように、特定の人物に対して肩書のように「○○の力の胎界主」と呼ぶことがある。才能や素質を持つ者は「たましい」の扉から司神の力を引き出すことができ、そのような人物が特別に胎界主と呼ばれる。たましいは人間なら誰もが持っているが、誰もが胎界主というわけではない。とりあえず特別な力を持つ傑物くらいの意味合いで理解しておけばよい。胎界主の胎界に取り込まれた存在は「胎界物」と呼ばれる。多くの一般人は愚鈍な胎界物である。
稀男の場合は、「運ぶ力」という物事の流れを望んだ方向へ運ぶ力を持つ。要するに作戦を立てるのがうまい。他にも「壊す力の胎界主」や「暴れる力の胎界主」「富む力の胎界主」など、司神の数だけ胎界主の力にも種類がある。

真の胎界主

「真の胎界主」とは、胎界主たちの中で最も大きなアカーシャ球体公転距離を持つ者、つまり最も広大な胎界を持つ者を指す。要は最強の胎界主である。稀男も候補のひとりではあるが、現時点では判明していない。
悪魔などの人ならざる者たちは、どんなに強大であってもたましいを持たないため、基本的には胎界主になることができない。*2創造行為ができないと言い換えてもいい。そのため、どこまで行っても現状維持しかできず、種族としての寿命を迎えようとしている。それを打破するために真の胎界主の力を我が物にせんとしている。

ソロモン

時々画面の背景に亡霊のように映り込んでいる長い髪の青紫色っぽい謎の人物。
その正体は古代イスラエルの王にして強大な胎界主「ソロモン」。かつては魔王たちを意のままに使役し、ありとあらゆるものを手に入れ我が世を貪った。
その強過ぎる力故に訳あって肉体と存在を失い、現在はとある人物の精神の中に潜んでいる。再び生成世界に帰還しようと企み、そのための手段として強い胎界主を求めている。稀男とその仲間たちもその野望に利用しようとしており、あの手この手で密かに影響を与えてくる。裏ボス。



単語の解説だけでずいぶん長くなってしまった。もちろんここに書いてあるのは一読者の粗雑な解釈である点は留意してほしい。
第一部は世界観の説明と仲間集め。第二部は異世界冒険である。特に第二部終盤の「生体金庫」編は特有の哲学を抜きにしてもエンタメとして非常に面白く、ぜひ読んでほしい。少なくとも、理解できるできないに関わらず第二部まで読み進むことができた読者が「生体金庫」編をつまらないと思うことはないはずだ。そこに至るまで何時間かかるかは知らん。

ここまで紹介したのは理解のささやかな助けになるかもしれない前提知識だけで、内容にはほとんど触れていない。読んでくれ。
最後まで読んでも「よくわからなかったな」と思うところが数多くあるに違いない。俺もある。よくわからなくて、気が付くとまたこの長大な話を何度も何度も読んでしまう。そうして我々は胎界主「尾籠憲一」の胎界に取り込まれていく。それが真実だ。

www.taikaisyu.com

*1:まとめ: 15年連載し続けたweb漫画の更新が突然途絶え、ファンが作者の住居連絡先を探し当てるまで発展【胎界主】 - Togetter

*2:「基本的に」というのは、限られた領域の主という意味で狭義の胎界主になるケースはあるから。

Legion TD2自分用メモ

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APEXランクがあるのであまりやれていないが振り分け20戦中15勝5敗でプラチナ2スタートだった。上位1%くらい。正直自分がそんなにうまいとは思えない。実際、振り分け後に3連敗(振り分け最終戦も含めると4連敗)を喫しただのビギナーズラックだったことが判明し落ち込む。(ドイツ人にめちゃくちゃ文句言われた)

振り分け戦では相手もそんなに強くなかったので気にしていなかったが、プラチナ帯では鉱夫の人数で自分と他のプレイヤーの間に大きな違いがあった。
「15Wave以降雇える人数が2倍になるので最初はほどほどにしつつ後から増やそう」という戦略は誤りで、勝ってるプレイヤーや活躍しているプレイヤーは明らかに前半戦からそれなりの金を鉱夫に突っ込んでいる。10Wave時点で15人以上いることが多い。
前半で鉱夫に差がついているとその後の収入スケールも雪だるま式に差が広がっていき挽回する手段がなくなる。鉱夫2倍は増やした収入をより加速させるためのもので、最終的に50人60人を超えてくる。低ランクでやってるときは30~40人程度だった。
当然、序盤でそれだけ金を使うと盤面が不安になるわけで、確かに完全にリークを防ぐのは上手そうな人でもほぼ不可能に近い感じだった。リーク0%は無理にしてもがっつり漏らすかちょろっと漏らすかの差は非常に大きい。同じくらいの総合バリューでも明らかにリーク率に差があるので、序盤強いユニットや構成の形をわかっているかどうかが重要になる。あまり使わないよくわかってないユニットが手札に来ると「ちゃんとお金をかけてるはずなのになんかリークする」場面が多い。まずは前半を耐えれてなおかつ鉱夫も雇える構成のパターンを暗記する必要がある。当分はクラシックかBot戦でその辺の経験と勘を鍛えたい。

あと、シルバーやゴールドにいた頃は「序盤に数ターンミティウム貯めて収入逃すよりコツコツキング強化して先に収入を増やす」という戦略を取っていた(それで勝てた)が、プラチナでそれをやる人は全くいない。
大体3Waveか4Waveあたりで60~80ミティウムのやつ(3ならブリュート、4ならハーミット)を送ってリークさせてくる。多めに盤面投資しないとこの攻撃は防ぎきれないので、お互いにいくらかダメージを受けることが多い。相手次第で大ダメージを与える可能性もある。(俺は与えられた側)
毎ターンミティウムを消費して収入を増やすより、リークさせたことによる追加収入の利(とキングへのダメージ)を取っているらしい。お互いリークならトントンないし配置上手な方が有利、キング強化してると不利、くらいの塩梅か?


マジでめちゃくちゃ面白くて、流行ってほしいと思いつつどう見ても地味だしとっかかりにくいし流行る要素ないなと思うが、着実にプレイヤーは増えているようでうれしい。合わない人は全く合わないが刺さる人には深々と刺さるタイプ。どこかのゲームメディアが記事にしてくれればそれなりに盛り上がるはずだ。頼む。
APEXのランクまだ終わってないし来月はFF14やるしでなかなか時間が取れないが、今がメタ固まる前の黎明期でこれから攻略が進む(進むよな?)と思うのでプレイ時間がなくてもとりあえず情報だけはキャッチしておきたい。

あのゲームの面影を追って 『Legion TD2』

またしても激おもろゲームを発見したので紹介する。
Steamで配信されている『Legion TD2』というゲーム。TDはおそらくタワーディフェンスの略。2というからには1があるのかと軽く調べてみるとWoWのModだったっぽい。アーリーアクセスを経て10月1日から正式リリース。

プレイしている人によれば「Dota Auto Chessの再来」とまで言われており、オートチェスを知る者ならこの一言だけでやらずとも全て“理解”できよう。とはいえ10月8日現在では日本での知名度はかなり低い。間違いなくオートチェス並みの素質はあるが、流行には運も必要なので流行らない可能性もある。有料(2050円)だしなあ。

おおまかなゲームの流れを説明する。
ウェーブ毎に襲ってくる敵の群れに対してユニットを配置して防衛するというタワーディフェンスを2チームに分かれて同時にやり、先に自陣のキングが倒れたチームの負けという対戦ゲーム。ランクが2対2、ノーマルが4対4となっている。
タワーディフェンスを対戦形式にしただけに見えるが、オートチェスに例えられるのはユニットの購入と配置における戦略性の部分だと思う。お金でユニットを買うので、お金の管理と使いどころが大事。
ユニットの種類は多いが1試合中に使えるのは数が限られるためオートチェスのような駒ガチャ運要素は低い。どのタイミングでどれを買うか、どれを進化させるか、どこに配置するか、を考えるあたりは似ている。ユニットたちは毎ターン襲い来る敵モンスターからキングを守るべく戦い(自動戦闘)、全滅すると敵がキングの元へたどり着きダメージを受けてしまう。
また、守るだけでなく傭兵というのを雇って相手陣地への攻撃に参加させることができ、傭兵を雇うと毎ターンもらえるお金が増える。リソースを自陣のユニットに割くか攻撃の傭兵に割くか、という選択も戦略の要になりそう。傭兵を雇うのはお金ではなくなんちゃら鉱石を使うが、その鉱石を採掘する炭鉱夫はお金で雇う(ややこしい)。限られたお金を、盤面の強化か、傭兵の準備か、未来への投資か、ちょっとした選択の違いで戦闘の結果が変わってくる。
チームで体力を共有しており、防衛自体はレーンが別れているので独立して戦うが、味方が突破されたときに自分のレーンで敵を殲滅してユニットが生き残っていれば、突破してきた敵を食い止めに行くことができる。
そうしてユニットでの防衛と傭兵の出撃をやりくりしながら、先に相手チームキングの体力がゼロになれば勝ち。

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基本の画面。これだけ見てもつまんなそう。

大まかなルールと流れはこんな感じ。これだけ知っていればとりあえず低レベルのBotには勝てる。あとはユニットの強さと性能を覚えて、強い構成や配置のやり方タイミングを研究することで上手くなっていく、と思う。攻略情報も現状日本語ではほぼゼロに近いので暗中模索。対人戦はチームなので味方とコミュニケーションが必要なのかどうかがちょっと不安なところ。どうせ外国人しかいないし。相方募集。
文章で説明しても全く面白さが伝わる気がしない(し見た目地味なので動画を見せてもたぶん伝わらない)が、とにかく「オートチェスの再来」という言葉にすべてが詰まっている。オートチェスが面白いと感じる人は100%面白い。オートチェスを知らなくてもタワーディフェンスが好きならハマるかもしれない。今なら日本人はほとんどやってないので後々「流行れば」先駆者としてデカい顔ができるぞ。のりこめー!
store.steampowered.com

大宇宙浪漫『ダイソンスフィアプログラム』

ダイソンスフィア。それは宇宙物理学者フリーマン・ダイソンが考案した架空の宇宙建造物である。恒星を囲い込んだ人工物でその圧倒的なエネルギーを利用する、というもの。超おおざっぱに言えば太陽光発電で太陽ぐるっと囲んだら最強の発電機じゃね?みたいな発想だと思う。実現はほとんど不可能なため、理論というよりはアイデアに近い。
そんなダイソンスフィアを自らの手で作り上げることができるゲームが『ダイソンスフィアプログラム』。

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最初期の工場

資源を集め、加工し、部品を作り、機械を作り、という流れを繰り返す。資源収集を機械化し、資源の運搬を機械化し、加工と製造も機械化して、生産規模をどんどん大きくしていく。
プレイに影響はないが一応世界観として、人々が意識を電脳化しサーバー上のバーチャル世界に籠るようになった結果、膨大な電力が必要になり、そのエネルギー源を探すという使命を帯びた主人公(の意識をインストールしたロボ)が未開の星系でダイソンスフィア建造を目指す、というやたら重めのストーリーがある。
研究というスキルツリーのようなものがあり、これを進めることで新しいものが作れるようになったり、ロボの性能が上がったりする。研究をアンロックするためにはマトリクスという謎の物体を大量に製造する必要があり、全6種のマトリクスを量産する体制作りがゲーム進行の主目的になる。

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ちょっとでかくなった工場

この手のジャンルのゲームは初めて遊んだが、評判の通り辞め時がまったくわからなくなる。ちょっと30分空いたからさっき作りかけた製造ラインを触ろうかな、と思って気が付いたら1時間経っている。勘弁してほしい。
プレイ20時間弱の現在、6種類のうち3番目の構造マトリックス生産レシピをアンロックし、初期星で産出されないチタン鉱石を求めて隣の衛星にごくささやかな出張所のようなものを作ったところである。星間輸送の設備はまだアンロックできていないのでチタンはロボのインベントリに仕舞って足で地道に運ぶしかない。構造マトリクスにチタンが必要でチタンは他所の星にしかないのに星間輸送は構造マトリクスを量産しないとアンロックできないの意地悪くない?
最終目標であるダイソンスフィアの建造は、一番小さな部品となるソーラーセイルを射出する装置を開発でき、試験的に数十個を宇宙へ送り出した。おそらく数万以上の部品が必要なのでスタートラインから小指がちょっと出た程度だと思われる。なお、ソーラーセイルには寿命があるのでそれまでに自動化しないとそのうち小指は引っ込む。
20時間でこの程度ならクリアまでいったいどれほど時間がかかるのかと気が遠くなりそうだが、ゲームが進めば開発生産速度は倍々に上がっていくので、流石に何千何万時間も必要ということはない。レビューを見る感じ100時間くらいやれば一区切りはつきそう。
とはいえ遊ぼうと思えばいくらでも遊び続けられる時間泥棒ゲームなのは確かである。何しろ生成される星々全てが開拓対象なのだ。今作っているダイソンスフィアが完成したら(するのか?)ワープ航法で別の星系にいってそっちで新たに建造を始めることだってできる。この異常なスケールのデカさは他の同系ゲームにない大きな特徴だろう。

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チタン出張所。星によって環境は様々。

まだアーリーアクセス中ながらバグも少なく、操作に不便もなく遊びやすいのも良い点。アップデートはまだまだ続いており、東京ゲームショーでも出展していて2022年に戦闘要素の追加を予定していると発表されていた。中国のインディースタジオが開発しているので、中国政府のゲーム規制でSteamから撤退したりしないかとちょっと心配したが今のところ大丈夫そう。
今月はAPEXランクマッチに忙しく来月後半以降はたぶんFF14で忙しいのでプレイ頻度が落ちそうだが、気長に進めていきたい。いつになったら完成するのだろうか。