蟹3

感想と怪文書

生きるために戦う『メトロエクソダス』


『メトロエクソダス』をクリアした。分岐エンディング制だが真エンドでいけた。
メトロ2033』『メトロラストライト』に続くメトロシリーズ第3作。前2作はかなり内容忘れたがプレイ済み。核戦争から20年後、モスクワの地下鉄で生まれ育った青年アルチョムが自由や真実を求めて戦うサバイバルシューターRPG。モスクワの外にも生存者がいることを知り、オーダーの部隊と共に軍に反逆する形で蒸気機関車を奪取してメトロから脱出(エクソダス)するところから物語が始まる。2033では頼りない風だったアルチョムも今作では仲間たちからの信頼厚い経験豊富な兵士だ。
過去作の特徴だった暗い地下で乏しい物資とガスマスクの残量に気を配るヒリついた緊張感はそのままに、チャプター毎に凍った河、砂漠、森、といったロケーションでミニオープンワールド的な遊び方ができる。最後のチャプターは懐かしい地下鉄に戻り「メトロ」の名にもふさわしい。


この手の一人プレイシューターは大体主人公が一人で何とかしなきゃいけない場面が多いが、今作は要所要所ではあるものの仲間と一緒に行動できるし、ストーリーの起点が仲間のためであることが多く、また彼らも個性豊かでいいキャラクターなので孤独感を感じなかった。最終チャプター、瀕死の体で帰ってきたアルチョムに駆け寄る仲間たちを見て目頭が熱くなったものだ。
メトロシリーズ共通のプレイフィールとして、物資の限界がある。核戦争後の荒廃した世界なので、店なんてものはなく、銃器も銃弾も薬も拾ったものでなんとかしないといけない。しかも変異したミュータントは倒したところで何も持っていないので、RPG的な「倒して経験値やお金をゲット」がほとんどできない。FPSでありながら、「銃で撃ってバンバンバン!」とはいかないのだ。
人間の敵はいくらかアイテムを持っているが、敵対すべきでない相手まで殺しているとなんらかのポイントが減ってしまいバッドエンド行きになるというシステムなため、スニークして突破したり殺さずに気絶させたりする必要がある。正直かなりストレスがたまるゲームではある。もちろん奥まった部屋の隅に有用なアイテムが落ちている、なんてことはあるので探索はしたいのだが、そうやってなんとか目的を達してもゲーム的な報酬は乏しい。あるのは「アルチョムおじちゃんありがとう」だとか、機関車の中で仲間と語らう時間だとか、ギターのちょっとした音色だとか、そんなものだ。レベルアップなんかよりよほど豪華な報酬じゃないか。