蟹3

感想と怪文書

PUBG CONTINENTAL SERIES閉幕

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実は1年ほど前からPUBGのプロシーンを割と真面目に観戦している。
PUBGそのものは既にプレイ人口のピークを過ぎ、歴戦の猛者だけが残る初心者お断りのゲームになってしまった印象が強い*1が、プロでは各国にリーグがあり、日本でもシーズン6を数えるなど運営実績を積み重ねている。解説も実況もわかりやすいし、画面の観戦インターフェイスも長年のアップデートでランキングがリアルタイムで出たりダメージ率が出たりと年々面白くなっている。ゲーム自体はそんなにやっていないけれど大会は応援するといういわゆる観戦勢も少なくない。

現在は新型コロナウイルスでオフライン大会が制限されてしまい、そのために国際大会があまり開催できていないが、近い地域ごとに集まって戦う「PUBG CONTINENTAL SERIES」というオンライン大会が各地で開かれており、第三回PCS3のアジアリージョンが全日程を終えた。アジア地域は中国6チーム韓国6チーム台湾2チーム日本2チームの計16チームが6日間24試合を戦った。日本からは直近の国内リーグで1位2位を獲得した「DetonatioN Gaming White」(DGW)と「SunSister」(SST)が出場。
したのだが、全16チーム中DGWが15位、SSTが16位とドベを独占してしまうという非常に残念な結果に終わった。どちらも何度も国内リーグで優勝を経験している日本最高レベルのチームであるのは間違いないのだが、それでも世界の壁は厚く、eスポーツでは日本がいまだ後進国であることを示すような形になってしまった。
とはいえ、上位チーム相手に真正面からぶつかって勝利する場面は何度かあったし、1試合単位で見れば上位に食い込む試合もあった。日本のチームは海外に比べて決断や移動が遅い印象があったが、そのあたりのスピード感も負けないよう食らいついていく姿勢が見えてよかったと思う。ポイントをとれた試合のパフォーマンスを常に維持できればもっと上位に行けると思うのだが、まあそれができれば誰も苦労しない。

大会総合では中国代表の「Multi Circle Gaming」(MCG)が優勝を獲得した。最終日開始時点では韓国の「OGN Entus」(ENT)がトップを独走しておりこのまま優勝かと思われたが、最終日の第一、第二試合でMCGが2連続ドン勝し一挙逆転という熱い展開。ENTはポイントを伸ばせずそのままMCGが勝ち切った。大会の前半では、派手な大量得点はないものの安定したムーブで高順位をキープし続ける堅実なチームという印象だったが、終わってみれば全チーム中キル数トップという中国らしい攻撃力の高さを見せつけた。結果的にPCSのアジア大会はすべて中国勢が優勝し、層の厚さを感じさせる。

そもそも中国韓国はアジアに留まらず世界全体で見てもトップの実力があり、最初からはるか格上相手であるのは否めない。そんな連中が大半を占めるアジア大会は世界大会より厳しい環境かもしれない。日本は毎回苦渋をなめさせられている。
日本の選手が全員自宅から参加しているのに対して、中韓はゲーミングハウス*2が当たり前で、ゲーミングハウスだから勝てるというわけではないが業界としての成熟度の違いを感じた。パソコンでゲームをする文化、ゲームの人気、FPSの人気、プレイヤーの数、動くお金の額、などなどの根本的な部分で日本は大敗していると思われるので、一朝一夕には追い付けないだろう。だから勝てなくていいという話ではないし、選手たちも環境の違いを言い訳にはしないだろうけれど、そんな中でボコボコにされて毎度心無い観客に叩かれるのもちょっと気の毒だなとは思う。
日本チームがミスをしたり順位を下げたりすると必ず配信のコメント欄が荒れる。こういうのは球場のおっさんの野次みたいなもので、ゲームに限らずどこにでもいるのだろう。ただ、球場と違って観戦するおっさんの野次全てが視界に入るし、時には子どもの口喧嘩のようなものまで発生しなかなか見るに堪えない。(本当に子どもなのかもしれないが)コメント非表示にすればいいのだが普通の応援コメントはあったほうが楽しいので悩ましい。

12月19日と20日には、日本の上位チームと海外(アジア)の招待チームで行う「PJS Winter Invitational」も開催される。再び中国韓国の強さを見せつけられることになりそうだが、日本勢もなんとか頑張ってほしい。また、来年2月には韓国でようやくオフラインの世界大会が開催されると発表された。日本の出場枠は2チームでどこが出るのかはまだわからないが、8週間にわたる長期大会ということで今から楽しみだ。

*1:一方でモバイル版は盛り上がっておりカジュアルなプレイヤーはそちらに流れるのかもしれない。

*2:チーム専用のゲーム用オフィス。たぶんお金がかかるので日本には少ない。